漫画動画の漫画やイラストは納品スピード重視の場合が多いという話題を以前しました。
実際、報酬に関しても出来高制がほとんどですので、早く納品して仕事を沢山すればそれだけ収入も増えるお仕事です。
しかし
- イラストや漫画を仕上げるのが遅い
- 早く描くとクオリティが低くなるのが心配
というお悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?
実は私もイラストを描く速度が遅く、ずっと悩んでいました。
現在、漫画動画のお仕事をするにあたり、常に納期と戦っている事で今まで気づく事ができなかった描画速度の大切さと方法を学びました。
この記事ではそんなイラストを速く描くための解決策を書いていきます!
イラストを描くのが遅い人の特徴
まず、描画速度が遅い人はどうしてそうなるのでしょうか?
いくつか理由があります。
そもそもイラストを描く実力がまだ足りていない
まずイラストを描く実力がまだ足りていない場合、これは当然ながら数を描いていくという事が一番の対処法です。
基本的に、必要になるのはデッサン力となります。
デッサンというと専門的な事になりますので、いわゆるクロッキーという形ではありますが
30秒ドローイングというサイトで人体の形をすばやく何度も描くことで、人体を速く描くことに慣れるということができます。
このサイトは少し前に大分流行りましたので、チャレンジされた方もいるかもしれません。
あくまで、人物の形の素体ですので、きちんとした筋肉の形や関節の動きなど勉強するには人物のデッサンの本を見て勉強することは必要になると思いますが、とにかく少しでも人物描写の時間を速くする練習をするには効果的だと思います。
細部にこだわりすぎてしまい完成させられない
細部にこだわりすぎてしまう場合ですが、イラストにはある意味完成形という物は存在しませんので、人によっては「もっと!」と思ってしまうかもしれません。
しかし、納期がある以上は区切りを見つけて終わりにしなくてはいけません。
今回は漫画動画のお仕事に関する記事となりますので、漫画動画のイラストの場合、動画という特性上、一枚の絵(一コマの場合も)が視聴者の目に留まる時間は数秒ほどです。
場合によっては1秒もない場合もあります。
そのような状態ですので、ある程度細かい部分はデフォルメされていても問題はありません。デフォルメは漫画においてとても大切な技術ですので、どこを描いてどこを省くかという事を考えながら描く事は大切です。
もしあなたが細部のデフォルメに慣れていないようなら、いくつか他の方の漫画動画で再生数の多い物を視聴し、動画の内容(ストーリー)ではなく、その動画内のイラストをじっくり見て下さい。意外と細部は省かれていることが多いのではないでしょうか。
紙の漫画は、自分のペースで読むものですので、特定のページを凝視することはあっても、動画の場合停止でもしない限り視聴者は特定のコマを凝視することは多くありません。
そのことを踏まえて、細部のデフォルメをぜひ取り入れて下さいね。
背景の処理
漫画において背景は時間のかかる作業の一つです。
スピード重視の漫画動画の場合、フリーの背景写真や素材を使用してOKというクライアントは多いですので、そういった素材をフルに活用して時短を図る事は大切です。
※ただし、必ず素材の使用許諾を確認し、漫画動画で使用できるのか判断することが必須です!
近年は、写真を利用したフォトバッシュという加工方法もありますので、そういった手法を
取り入れる事も技術アップと時短につながります。
時間管理ができていない
そもそも時間管理ができていないという場合ですが、これが意外と多いです。
イラストをずっと趣味で描いていた方の場合、イラストを描く時間はいくらでもあるような感覚のまま、仕事をしてしまう場合があります。
すると、気が付いたら思っていた以上に進んでいないのに締め切りが!となってしまいます。
そういった方の場合は、まず納品までの日数と一日にしなければならない仕事量を考えた上で、その仕事で得る報酬を考え
「一日でこれくらいの時間仕事をしてどれくらい進めるか」
を明確に目標として出してください。
例えば時給2000円欲しい。と思った場合、その時給に見あう作業時間と納期の日数、また仕上げるクオリティを考えて仕事をするという形です。
そこを意識するとしないとでは、作業の効率が変わりますので一度実践してみて下さいね。
以上、大きく3つの特徴を書いてきました。もしこれのどれかにピンとくる方がいましたら
対処法を一度試してみてください。
デジタルの恩恵ショートカットを駆使する
デジタルイラストではツールのショートカットの使用が必須といえます。
デジタルイラスト初心者の場合、イラストソフトのツールをいちいちペンで選択して…という事をやっている方もいらっしゃいますが、ショートカットを使用するとほぼ感覚でできるものとなりますので、これを使う事で一枚のイラストを完成させる時間に大きく関わります。
PCのショートカットはキーボードを使用するのが一般的ですが、イラスト作画の場合、便利な左手デバイスと呼ばれる物を使用する方も多いです。
片手でペンをもち、もう一方の手でショートカット用のデバイスを操作することでより効率的に作画することができます。
もしショートカットを使用しないでイラストを描いている場合は絶対ショートカットを使用することで描画速度が速くなります。
左手デバイスの一つであるタブメイトの記事も書いています
デジタルの弊害?戻るボタンで何度も描き直してしまう
デジタルイラストの代表的ともいえる便利機能、「戻るボタン」これで何度でもペン入れでも書き直す事ができてしまいます!本当に便利!これがないと私も無理です!
しかし、この「何度でも描き直し」ができるゆえに、作業スピードが落ちている事は意外とあるのです。
[chat face=”chat_hiyoko.png” name=”” align=”left” border=”none” bg=”green” style=””]やり直しすればそれだけクオリティが高い物を描けるよ?[/chat]たしかに、「ここ変だぞ?あ、間違えて変なとこ描いちゃった!」という場面で戻して描き直しすれば、より良いイラストになると思います。
しかしあくまで納期優先の漫画動画の仕事です。スピードを求める場合やり直しが少ない方が早く仕上がるのは当然です。
できるだけやり直しをしないで描いてみる事で、自分のイラストの苦手な部分がより分かりやすくなりますので、そこを集中的に練習することで、画力アップもできますし結果的に描画速度もあがります。
無意識にやりなおしを繰り返している場合、一度やり直しをあまりせず描いてみることにチャレンジしてみて下さい!
上手いイラストを速く描くために必要なことは?
先ほどの部分で、やり直しをしないでできるだけ描くという事をあげました。
私の場合ですが、現在下書きをせずに人物のラフ(ネーム)の状態から直接ペン入れをしています。最初は「いや無理だろ!」と思ったのですがこれが意外と描けるのです。
アナログとは違い、ペン入れでもやり直しができますので細かい修正が可能なのと、あまりに難しい構図などは下書きをするようにして、あとは思い切って直接ペン入れでいっています。
下書きをしないことで、さきほど書いたように、自分の苦手な部分が明確に分かります。
今まで私は下書きできちんと描かなきゃいけないと思っていたのですが下書きがあることでダラダラと絵を描いていたことに気が付きました。
何度もやり直せるので苦手な部分を明確に意識した事もありませんでしたので
[chat face=”chat_kuma.png” name=”” align=”left” border=”none” bg=”green” style=””]描くの遅いなーでも何年もこんなに描いてるのになぜ?[/chat]とずーと思っていました。
下書きがない事で一気に描くという事に集中し、やり直しが効かないので自分の苦手な部分が本当に分かります。これは私にとって非常に大きいことでした。
苦手な部分を練習してやり直さなくても描けるようにする事ができるからです!
当然下書きをしていた頃よりも描画速度はあがりました。クオリティは?となりますが、
そこに関してもあくまでお仕事なので極端には落とさないよう意識しています。
今まで、かなりの数イラスト、漫画を描いてきたのに速度が上がらないと感じている方は、私のように下書きを思い切ってなくしてみる方法も試してみて下さい。
描くのが早い事ってそんなに必要なの?
私の経験談になりますが、今まで出会った「この人イラスト上手だなー」と思った方は
全員描く速度もめちゃくちゃ早かったです。(ちなみにその方たちは全員商業のイラストや漫画のお仕事を現在されています)
これはある意味当然で、例えばイラストを描くのが遅い人が1週間で1枚仕上げてツイッターやピクシブで発表していたとします。一方描くのが早い人は1週間で6枚仕上げて発表しています。これが1か月、1年と続けば描くのが遅い人と速い人で描いたイラストの枚数は何倍も変わります。
イラストの実力は描いた枚数に比例します。
それと、イラストを描くのが遅いけど上手な人よりも、そこまで上手ではないけどめちゃくちゃ描くのが早い人とでは、後者の方が漫画動画のお仕事の場合は重宝される事も多いのです。
イラストを速く描けるようになることはある意味とても大切なことだといえます。
アナログで描いて練習する
漫画動画のイラストの仕事はデジタルの納品が基本です。
しかし、アナログで描いて練習することも、描画速度を上げる事になると思います。
先の「やり直しを少なくして書く」「下書きをせずに直接ペン入れ」とつながる部分ですが
紙とペンで描く事(消しゴム使わない)はやり直しをしない一発描きです。
アナログでイラスト描きまくっていた人はやっぱりデジタルでも描画速度が速くて上手いというのが今までの私の経験です。
デジタルにはない、紙に直接描画する感覚はイラストを描く刺激になります。
練習をする際にはアナログにもチャレンジしてみるのも一つの方法だと思っています。
ちなみにですが私はコピー用紙にゲルインクペンで30秒ドローイングやポーズ集の模写をやっていました。コピー用紙なら安価で沢山かけますから、練習におすすめです。
漫画動画イラストの速く描く方法まとめ
以上、複数の対処法を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
- イラストを描く実力が足りていない場合はまず沢山描く事
- 細部はデフォルメする
- 時間管理を明確にする
- ショートカットを駆使する
- 「やり直し」をあまりしないで描くのを意識する
- アナログでも練習してみる
もし「描くのが遅いな」とお悩みでしたら上記を試してみてくださいね!